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普通の家−3



断面図
片流れの屋根の高い部分(左側)よりの南からの光がハイサイドライトより入り、吹抜けを介して1階土間に達します。
1階・2階の天井は、構造材の現しとされ、力強い表現となっています。



設計概要
小学生〜中学生の男女三人のお子さんと40代夫婦のための家です。外断熱工法で作られました。

1階は、中央に広い土間(11畳)があり、土間を挟んで左側に子供室、右側に夫婦寝室が作られました。
2階は居間とダイニングキッチンと水回りとなっており、南側にデッキが回っています。

居間の北側に大きな吹抜けがあり、天井の高くなっている南側ハイサイドライトよりの光を1階土間に届けるとともに、居間と1階子供室を自然につなげる工夫となっています。
居間の窓は、視線の抜ける方向に開けられており、遠くの景色を眺める事ができます。

子供室は、土間との境を引戸としたので、土間と一体となった活動ができ、吹抜けを介して2階居間とも繋がりができています。
また、子供室間の間仕切りも全て引戸となっているので、子供室を3つに区切って使用する事も、隣同士で繋げて利用する事もでき、子供と親、子供同士の自然な交流が生まれる事が期待されます。道路側の高窓の下にカウンターテーブルと、下部が収納になっているスノコベットを作り各室に設置しました。

南側のデッキは、広い部分と通路状の部分で構成され、デッキでくつろいだり、デッキを通って他の部屋に行ったりなど、その場での活動にも動き回る行動にも対応しています。
外断熱工法の特徴を利用して、居間や土間の天井は構造材を現しにして、力強い空間とされました。



Gradationのある空間

(1)「家族の場(子供と大人が一緒に暮らす場)」
幼い子供は親と一緒に暮らしますが、子供たちが成長するにつれて、彼らは独力で活動を始め、友人と過ごす時間が増え、少しずつ親子の接する時間は減っていきます。
そんな中、親子と言えども実際に接してコミュニケーションを取りあうところから、信頼関係は育まれるのだと思います。親子が一緒の時間は、子供が成長するにつれ、貴重なものとなって行きます。

(2)「場」の空間的グラデーション;
「家族の場」
住宅は、家族の空間です。そこには家族のための活動の「場」があります。
家族みんなで寛いだり、食事をしたり、テレビを見たり、・・・。
家族(子供と大人)が憩い、一緒に暮らす「家族の場」は、家の中心的空間です。


「子供の場」・「大人の場」
次に、それぞれの場があります。子供の場や大人の場。プライバシーをある程度確保された自分の空間。家族みんなでの生活を補う空間です。


「中間的要素」
さらに、それらの「中間の場」があります。子供も使うが大人も使う。どちらかだけで使う事のできる場。例えば、2階にお客さんが来た時に、子供が土間で遊んでいる場合の土間は、そんな中間的な場です。
中庭・土間・ファミリールームなどの曖昧な空間が、家族の場となったり、中間の場となったり、それらの境界となったりするようです。


「家族の居る場」から「個人が使う場」まで、家の中の空間はいろんな色が着いて虹のようなグラデーションをなしているとも見えます。
"普通の家3"のように、「中間の場」を持ったグラデーションのある空間構成が、子供の成長とともに親子関係が微妙に変わって行っても、親と子が接する事のできる空間的工夫として、実は大切なのかも知れないと、考えております。




夕方の土間



設計概要
建築用途 専用住宅
主体構造 木造軸組工法 地上2階
敷地面積 115.61m2
建築面積  53.78m2
延床面積  92.47m2(デッキを除く)
1  階  53.55m2

2   階  38.92m2
2006年3月



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