さて、事務所に戻り、新たに湧いてきたアイデアと建主から出てきた要求とをこね回しこね回しして、次の案を作る。ブロックやコンクリートを壁に使い、窓下に置かれたパネルヒーターで冷気を排除する暖房の快適さは知っていたし、北海道と気候風土の似たヨーロッパの石造の建築の風格も知っていたので、今回の住宅は木造ではなく、ブロックかコンクリートにしようと考えた。これには建主の賛同も得られた。設備設計者を決定する為にいくつかの業者と会い、上記の暖房方式について詳しいN社と知り合う事が出来たので、迷わずこの暖房方式で進める事とした。さらに、お子さんが独立された後に大幅な模様替えも出きる様にとの建主の要望を満たすために、どうしても壁が多くなってしまうブロック造を避け、細い柱と梁による鉄筋コンクリート造とした。今回は構造設計を優秀な東京のM氏に頼んだので、鉄筋コンクリートと思えないほど柱を細くし、軽快な内部空間を作る事が出来るだろうと言う期待もあった。
この様に何度か打ち合わせを繰り返すうちに、建主と設計者の共通のイメージが固まって来る。この段階に来たら、次は設計図に取りかかる。平面図・立面図・断面図など基本的な図面が出来た段階で、この建物が法的に適合しているかどうかのチェックをして頂く為に旭川市役所に確認申請を提出する。それと同時に図面をさらに描き進め、平面詳細図、断面詳細図などの拡大図や、家具や建具などの詳細図、各部屋のインテリア図など各種の図面を描き、構造図と設備図を加えて実施設計を完了する。設計図に取りかかった時には冬の初めであったが、今は冬も終わろうとしている。
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