◆東京都練馬区の住宅地。敷地の周囲は住宅が建て込んでいる。105.72m2(32坪)の敷地
の40%以上が、2〜2.5m幅の20m程の長さの路地状部分となっている。
(1)小さな面積の克服
・一時的に子供室となる居間;小さな面積で住むために、居間の一部が将来子供室にもできる様、簡易間仕切りを設置できる様にした。
・収納の充実(a);居間の壁全周、和室の壁一部にレールを埋め込み「可動棚板」を設置した。
・収納の充実(b);階段の下から和室の奥まで、8mの長さに白い布がつながっているが、ここは奥行きのある収納としていろいろなものが仕舞われる。
・収納の充実(c);その他、必要に応じてトイレ・洗面・キッチンなどに作り付けの収納を設けた。
・2階デッキの工夫;光庭に沿って2階のデッキを設置することにより、デッキは、居間に付属したバルコニーとしても、洗濯物を干し生ゴミを一時的に出しておくサービスデッキとしても、キッチンからダイニングを通らずに1階に回れる回遊動線としても機能している。
・土間空間の余裕;居室としては使い難い路地状部分を9m程の長さの内部土間空間として、外部環境と屋内との間の気分転換のはかれる長さと雰囲気(光の取り入れを工夫)を持つ中間帯とした。
(2)光庭とハイサイドライト
・周囲を家で囲まれているので、プライバシーの確保と太陽光の採り入れを工夫した。→具体的には、中央付近に1坪の「光庭」、南北各棟の南側に「ハイサイドライト」を設置して、太陽光を十分に取り入れつつもプライバシーを守れる工夫とした。
・光庭が南北に細長い建物の中央付近にあるので、部屋に太陽光を取り入れやすい。
・大きな窓を光庭に面して作る事により、大開口部が直接周囲の住宅に面しなくなりプライバシーが守りやすい。
・光庭が居室と居室の間に入る事となり、これを介して、家族が1〜2階での生活の様子を知る事ができる(気配を感じられる)。
・1階の浴室も光庭に面しており、厳しい条件に建つ住宅の浴室とは思えない開放的な空間となっている。
・1階光庭は、木製のデッキとされ和室や浴室から出て、縁側の様に使う事ができる。
・南北二棟とも「ハイサイドライト」より南からの太陽光を採り入れているが、この開口は高い天井の上部にあるので、隣家との視線の交錯が気にならず、また、「空」を見る事のできる窓となっている。
(3)その他
・トイレ・キッチン・浴室などの水回りが全て外気に接しており、湿気がこもりにくい。
・キッチンもステンレスにて機能的に設計製作された。
・家事コーナーがキッチン横で道路が見通せる位置に設けられた。
◆仕上げ概要
屋根;ガルバリウム鋼板
外壁;パーライトセメント板
外部デッキ・手摺り;カナダ杉
内部;
床;栗ムクフローリング
壁;石膏ボードEP塗装、一部シナ合板
天井;石膏ボードEP塗装
手摺り;木製(スプルス)、階段;ポプラ
|