自力で光を取り入れる形・家族が活動する形
周囲を住宅で囲まれた敷地では、家々との視線の交錯や今後建ちうる可能性のある家との日照の関係も配慮しなくてはならない。CH7の敷地は南と北はアパートの妻面。西側は駐車場、北側は最近建ったハウスメーカーの住宅でこちら側(南側)に大きな開口を向けている。
CH7は、夫婦と高校生の3人家族のための家である。中庭を、居間1・居間2・和室という性格の異なる一つながりの居間で取り囲み、家族が一緒に活動する場の充実を計った。
これらの室の間は引戸にてあいまいに仕切られ、それぞれが個室としても使用できるが(就寝の際にプライバシーを守る、個室で暖冷房するなど)、普段は一つながりの空間として意識され、利用されることを狙っている。
2階個室(子供室)は、土間上部の吹き抜けおよび中庭の2方より1階の回遊式居間とつながり、1階の家族の場に接続される。
土間は広くとられ、玄関としてだけでなく接客を含めた様々な活動に対応する場として、居間2とのつながりも考慮して設計されている。
8畳の面積の木製デッキ敷きの中庭を中心に、建築は南と北に配され、土間のある東棟がこれらをつなぐ。
正方形の中庭は、冬場の太陽光を北棟に入れるに十分な一辺の長さを持ち、また、屋外での活動にも支障のない面積を持つ。居間と中庭が一体となって利用される事を想定して、中庭はデッキ敷きとされた。外部に広がった居間と言い換えることもできる。
2階建ての北棟に対して、平屋の南棟は、北側に急勾配の片流れで、中庭側の軒は低く抑えられ、冬場でも太陽光線が差し込みやすい形体となっている。また、南棟の南面の採光窓は5.7mの高さに設置され、南側の隣家が建て替わっても自力で光を取り入れる工夫がされている。
東棟は東側の住居との視線の交錯を防ぐ高さとされつつも、東棟と南棟の接合部でV字形にカットされ、東側隣家に眺望を提供している。
日差しの制御及び雨天での開口部の利用を考慮して、中庭まわりに庇を設置した。また、通風を考慮して、各所にスリット窓を設置した。
|